マイクロフォーサーズを使用していた時、換算50mmの標準レンズとしてはOLUMPUSのM.Zuiko 25mmF1.2 proを所持していました。当時はこんなにボケるレンズが存在するのかと驚いた記憶がありますが、これとてフルサイズ換算ではF2.4と同じボケ量となります。
フルサイズ(Eマウント)を購入したときに一緒に手に入れたSEL55F18Zはマイクロフォーサーズ的にはF0.9のボケ量。ワクワクして撮影しましたが、正直な話、こんなもんかという印象でした。
これは、SEL55F18Zが悪いというよりも25mmF1.2のボケ味が良すぎたということだと思います。25mmF1.2はオリンパスらしからぬ解像感よりもボケ味に全振りをしたような設計で、F値以上にボケ感を感じるレンズでした。
なのでボケ味が美しいフルサイズの標準レンズを試してみたい、できるのであればF1.4以下で、と思っていました。
とは言ってもSEL50F14GMなんている化け物級価格のレンズなんておいそれとは買えません。
そこで、Planer50mmF1.4かNIKKOR 50mmF1.4に白羽の矢を立て、作例と相場を検索すること1ヶ月。
最終的にGetしたのはAI-S NIKKOR 50mmF1.4。NIKKOR-S Autoから始まったNIKON50mm標準レンズの最終モデル[1981-2020??]で、さらに鉛が使われなくなった2006年以降製造のシリアル60万台の本当の最終バージョンになります。
どうしてAI-S NIKKOR 50mmF1.4にしたのか?
まず、癖玉ではなくある程度キチンと写るレンズが欲しかったから。ゴーストや変なボケは必要なかったので同モデルの中でもNIKKOR-S Autoなどの初期モデルではなく、現代的なコーティングがされた最新モデルを購入しました。
もう一つは、Planer50mmF1.4と比較したときにそれほど遜色がないどころかむしろ勝っている部分もたくさんあること。絞り込んだときのコントラストの高さはContaxのそれ、開放の柔らかくて滲んだ感じは大好きだったOLUMPUSの25mmF1.2proのそれが感じられます。
作例
旅行に持っていき、ざっと撮影してきましたのでファーストインプレッションということで作例をご紹介したいと思います。
ピント合わせはし辛い
正直、ピント合わせは難しいです。F1.4だからということもありますが、このレンズ自体開放だと柔らかく滲む描写なのでそれもあるんじゃないかと思います。
LM-EA9でAFにした状態で暫くテストしていたのですが、F1.4では静物撮影でもガチピンとはいきませんでした。なので基本的にMFで撮影しています。そして断りがない限り開放です。
開放は柔らかく滲む
開放はごく柔らかく、ピントの周辺も滲んだようになります。
PCで等倍にするとピントが来ている1点だけシャープでそこからすぐに滲んでいくのがわかりますが、a7cの液晶ではピントが全く来ているように思えず不良個体かなとすら思うほどでした。
開放の玉ボケはレモン型と言うんでしょうか?ラグビーボールくらいの扁平率です。
ちょっと色乗りが良すぎる気がしますがボケの感じは柔らかくて好きです。
開放だとフリンジが出ますがこのくらいは仕方ないですね。なんせ1981年の設計なので。
炎がボケてるのが面白いです
絞ればNikonらしさも
開放はホヤホヤ、絞ればNikonらしさも出てきます。
まる二日使用した所感
いわゆるオールドレンズ的なフリンジ・変なボケ・ゴーストなどの癖が強くなく、かと言ってオールドらしい収差は適度に残している、通常用途にも十分耐える非常に使いやすいレンズです。
開放では柔らかく滲み、ボケもきれい。絞り込むと一気にカリカリシャープになって全く別のレンズかのようです。
色味としては、開放では滲みやボケと相まって薄めの色合いに見えますが、絞り込んだときのそれをみる限り、実際のところは結構色乗りが良いタイプのレンズではないかと思います。
最短距離も45cmと今どきのレンズと比べると寄れないものの、1mとかいうこともないので許容範囲ですかね。
開放でガッと寄って撮ると面白そうなレンズではあるので、ヘリコイド付きアダプタが欲しくなる今日このごろです。
まだ1日2日使ってみたという状態なので、もう少し使い込んで改めてレビューができればと思います。
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